高尾山城跡(天神堂)
高尾山城跡(たかおやましろあと)は、南北朝時代の初期、足利尊氏(あしかがたかうじ)方に味方した安芸の守護職武田信武(たけだのぶたけ)に抗(こう)して、矢野城に立てこもった後醍醐天皇(ごだいごてんのう)方の熊谷直行四郎入道蓮覚(くまがいなおゆきしろうにゅうどうれんがく)がこの山を支城として用いましたが落城しました。
その後、室町時代に野間(のま)氏がこの地方の戦国武将としてここを拠点地にし、天文24年野間隆則(のまたかのり)の時、毛利元就(もうりもとなり)の大軍に攻められ落城しました。
この山は、典型的な山城で、標高232mの頂上からは、北は海田方面、南は山越しに瀬戸内海の島々が見渡せるほど展望に優れたところです。遊歩道も整備されており、ウオーキングには格好の場所となっています。
平成4年7月20日 坂町指定文化財(史跡)に登録
塔の岡のモッコク
この付近は往時、塔の岡(とうのおか)といい、地名にちなんで塔半寺(とうはんじ)と名づけた寺院が、真言宗の僧霊厳によって創建されたと伝えられ、その後浄土真宗に改宗、西林寺(さいりんじ)と改め元禄元年(1688)現在地に移転しました。このモッコクはその当時から、寺の境内にあったと言い伝えられており、代々大切に保護され今日に至った木です。
モッコクは樹木の成長が遅く、大きくなるのに永い年月を要するため大きい樹木は特に珍重されます。椿科の常緑樹で照葉が美しく、樹形端正で品位に富む所から「庭木の王者」と言われ、作庭に当たっては真木の位置を占める樹であるとされています。目通り幹囲1.62メートル樹高12.2メートルで、枝のところから老木特有の樹芯に向かって一部空洞となっています。
平成4年7月20日 坂町指定文化財(天然記念物)に登録
令和4年8月26日撮影
平成4年6月20日撮影
須恵器
この須恵器(すえき)は、昭和35年頃、坂町植田7795-1番地を宅地造成の目的で整地中土中より発見したもので、同地はもと傾斜地で昭和20年の豪雨の際崩壊したものであり、発見当時は石棺が露出し、蓋石があらわれていたということです。このことは、県文化財係員が現地調査の上、埋蔵文化財包蔵地調査カードにも記載されているところです。平成6年3月県教育委員会文化課に出土品の鑑定を依頼したところ6世紀中頃、当時祭祀用として使用されていたもので、坂町としては数少ない文化遺品中最古のもので、この時代すでに人が居住していたことの証明として貴重な出土品です。
平成6年11月21日 坂町指定文化財 有形文化財に登録
西林寺の懸仏
孝霊天皇の末裔(まつえい)伊予国高縄郡風早の城主河野四郎越智通信の末裔である僧霊巌が諸国を行脚中、応永2(1395)年、塔の岡(坂西一丁目)に一于を建立し塔半寺を開創したときに尊奉したご本尊であると伝承されています。
懸仏(かけぼとけ)と呼ばれる携行型の形態で、鎌倉時代から室町時代に兜(かぶと)の面立てとして装着していたものです。
平成7年6月19日 坂町指定文化財 有形文化財に登録
西林寺の梵鐘
当時の記録によると、享保18(1733)年寄進を受けた記録はありますが、無銘につき制作年月日は不明です。そのため貴重なものと見なされ、戦時中この地方の殆どのお寺の梵鐘(ぼんしょう)が供出(きょうしゅつ)に遭う中、供出を免れたものです。
新羅・高麗時代に韓国で造られた梵鐘を模しているので、袈裟襷(けさたすき)といわれる条線が少なく、優雅な珍しい文様形態をしていますが、図柄そのものは和風になっています。
古くは時報の役目も担い、火災や水害等の災難時には、緊急を知らせる役目を担った歴史をもちます。
平成7年6月19日 坂町指定文化財 有形文化財に登録
八幡神社の随身像
八幡神社の内陣に安置されている随身像(ずいじんぞう)は、高さ80㎝の立像で、欅(けやき)の一木造りです。由緒は明らかではありませんが、古い時代の経過を物語っています。創建当初(鎌倉時代)からのものと思われます。
平成7年6月19日 坂町指定文化財 有形文化財に登録
坂雅正会
坂雅正会(さかがしょうかい)は、上条の彫刻師林正市氏が、雅楽の音色に興味をもち、雅楽に堪能な師に師事して雅楽を基礎から学び、親族や同業者に教えたのが始まりです。
明治28年に坂雅正会を設立し、技術の向上と後継者の育成を目指しながら習練を積み重ね、町内の諸行事はいうまでもなく、近隣の市町や県外の寺社にも出向くなどして積極的に演奏活動を行い、その優雅な音色は高い評価を受けています。
日本古来の伝統音楽である雅楽を、坂町で100年以上継承し続けていることは、近隣でも例を見ない大変貴重なものです。
使用楽器 | 唐楽管弦用三管〔龍笛・篳篥・笙〕、
三鼓〔太鼓・羯鼓・鉦鼓〕、両弦〔楽琵琶・楽筝〕 |
衣装 | 狩衣 |
曲目 | 越天楽、五常楽等 |
平成23年12月6日 坂町指定文化財 無形文化財に登録
平成26年1月11日・12日に東京で行われた「町イチ!村イチ!2014」に出演しました。
六角御輿
広島藩主である浅野氏ゆかりの六角御輿(ろっかくみこし)は、平成29年に坂八幡神社から町へ寄贈を受け、修復を行いました。
また、明治初期から昭和40年代までの約100年間にわたり、坂八幡神社の秋祭りにおいて使用され、先導は天狗の面をつけ、当時の中学生が担いでいました。
この長きにわたり活躍してきた六角御輿は、郷土文化への理解を深め、郷土愛を育む活動の一助となる大変貴重なものです。
現在、坂町町民センター展示室にて一般公開しています。
令和元年10月8日 坂町指定文化財 有形文化財に登録