生態・対策について

更新日:令和4年7月9日

イノシシ等の有害鳥獣による被害は全国的に深刻化しています。当町は農作物への被害が平成6年度から顕在化しておりました。このため、農地へのイノシシ防除施設等の補助事業を実施し、翌年から有害鳥獣駆除を開始しました。当初、市街地への出没はほとんど無い状態でしたが、現在は、里山の荒廃や農地の耕作放棄地などの増加が市街地へ出没する要因のひとつと考えられています。

イノシシは餌を求めて、栽培している農作物を食べたり、里道など、鼻を使って土を掘り、石を持ち上げ、一帯を手当たり次第に荒らします。イノシシ等の有害鳥獣被害防止には、絶対的な有効対策はないため、防止対策の効果を挙げるポイントとして、①鳥獣の習性を知ること②近寄りにくい環境を作ること③粘り強く続けることなどです。

イノシシは本来、臆病なので、人を襲うことは、稀ですが、市街地に出没したときには、興奮状態となっている可能性もあり、襲ってくることもあります。

万が一、イノシシと遭遇したら、何もしないことが一番です。落ち着いて、背中を向けずにゆっくりと後退し、静かにその場から立ち去り、高いところに移動するなど安全を確保しましょう。

イノシシにより、町民への生命、身体などへの被害が生じる恐れがある前に、イノシシの生態と対策について、まとめてみましたので、参考にしてください。

イノシシが山を荒らした様子の写真

生態

形態

オスの成体は、体重50kg~150kg、頭胴長110~160cm、体高60~80cmで、メスの体のサイズはオスよりも小さく、体重は20~40%軽い。

食性

雑食性で、地表から地中にかけて、掘り返して食べるのが特徴で、サツマイモやスイカ、竹の子、稲、果実などの農作物や昆虫、ヘビ、ミミズなどのほかに、耕作放棄地のクズの根茎も好物。

交尾期は12月から1月にかけて始まり、妊娠期間は約120日で、4月から6月にかけて出産し、半数が成獣となる。初産齢は1歳から2歳で毎年4、5頭出産する。通常は年1回出産であるが、春と秋の年2回出産することもある。

行動特性

性格は臆病で、人がいるところでは、夜間に行動する。危険がなく、安全と認識すれば、日中も活動するようになる。

成獣は1m程度の跳躍力があり、防護柵などの障害物に対しては警戒しながら近づくが、上を越えるよりも、高さ20cmあれば、くぐって通り抜けようとする傾向がある。

鼻の力は非常に強く、50kg程度の重さの物を持ち上げることができ、地面を掘り起こす力は強力である。

幼獣は、防護柵のメッシュが15cm規格であれば、潜り抜けることができる。

社会性

一夫多妻制であり、オスは交尾期のみメスの群れに入って行動する。通常は、単独成獣オス、子を連れたメスグループ、生殖しないオスグループの3つに分けられる。

その他

一度学習したことは半年以上記憶しているとされ、「餌場」と認識すれば、何度も侵入するようになる。光、音、ニオイを使った防除方法の効果は一時的に見られるが、すぐに慣れてしまい、学習能力は高い。

野生での寿命は10歳程度。(オス6歳、メス10歳)

対策について

防護柵の設置

農地に防護柵を張る。ポイントは高さ1mのワイヤーメッシュの柵の上部30cmを外側に20度程度折り返して「忍び返し」を付けることで、イノシシは飛び越える踏切地点を誤って、跳び越せなくなるなど、ひと工夫をすることで、被害も少なくなる。また、くぐり抜け防止のため、隙間なくしっかりと覆っておく。

餌付けや隠れ家をなくす

廃棄する農作物を野外に放置することで、無意識の餌付けとなっている恐れがある。地域ぐるみで、家や農地の周りの草刈りを行い、生活ゴミ(生ゴミ)を食べられないようにネットなどで覆い、ゴミを出す時間を守り、餌場や隠れ家をなくすこと。

地域ぐるみで取り組むことで、有害鳥獣が住み辛い環境を整えて、個体数と被害を減らす効果を発揮する。

捕獲

野生鳥獣は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」で保護されており、基本的に捕獲することは禁止されている。ただし、狩猟期間以外で鳥獣による農作物の被害が大きく、防護柵等を設置しても効果が無いと認められた場合に所定の手続きを経て、有害鳥獣として捕獲することができる。

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